腹腔鏡手術のへその傷口が痛む・膿む?治癒経過としこりの真相とケア
腹腔鏡手術のへその傷口が痛む・膿む?治癒経過としこりの真相とケアに関する疑問や疑問点をわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。
術後数週間から数ヶ月が経過した頃、「へその奥にパチンコ玉のような硬い塊がある」と気づく患者が多数を占めます。この術後へそのしこりの真相は、大きく分けて2つの原因が考えられます。
1つ目は、治癒過程で形成される「瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)や皮下硬結」です。切開された筋膜や皮下組織が癒着・修復される際、一時的にコラーゲンが過剰に密集して板のように硬くなります。触るとコリコリとした弾力があり、押すと軽い鈍痛を覚えることがありますが、皮膚表面に激しい赤みや熱感がなく、大きさも変わらない(もしくは徐々に小さくなる)場合は良性の創傷治癒プロセスです。通常、半年から1年をかけて組織が再編成され、自然に軟らかくなっていきます。
2つ目は、見逃してはならない重大な合併症である「へそヘルニア術後合併症(腹壁切開創ヘルニア)」です。腹腔鏡手術では、内視鏡カメラや摘出臓器を通過させるため、へその筋膜を1〜2センチ以上大きく切り開きます。手術終了時に筋膜は強固に縫合されますが、術後の激しい咳、便秘による強いいきみ、肥満、加齢などによる腹圧上昇が原因で、縫合部が緩んだり裂けたりすることがあります。
その結果、筋膜の隙間からお腹の中の脂肪(大網)や腸管が皮下へ脱出してしまい、へそが外側にポコッと飛び出すヘルニア状態を引き起こします。立位や腹圧をかけたときに膨らみ、仰向けに寝るとスッと元に戻るのが特徴です。しかし、脱出した腸管が締め付けられて血流が途絶える「嵌頓(かんとん)」を起こすと、腸閉塞や壊死を招き、緊急手術が必要となる生命危機に直結します。「急激な激痛」「膨らみが硬くなり押し戻せない」「嘔吐や腹部膨満」が生じた場合は、即座の救急搬送が必要です。