実在した天才詐欺師と有名人の巨額被害|巧妙な手口と事件の現在

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後世に名を残すことになった歴代の有名な詐欺師たちに共通するのは、並外れた知能指数の高さ以上に、「相手が最も見たいと願う虚像」を完璧に演じ分ける劇場型の演技力です。公判記録や当時の報道資料を精査すると、彼らがターゲットの警戒心をいかにして無力化していったのか、その冷徹な手腕が浮かび上がってきます。

日本国内で最も特異な足跡を残したのが、クヒオ大佐の正体と経歴として知られる鈴木和弘です。彼は自らを「カメハメハ大王の末裔」「米軍のエリート中佐」と偽り、1970年代から1990年代にかけて複数の女性から総額約1億円を詐取しました。白人に見せかけるために鼻筋にシリコンを注入し、軍服風の衣装を身にまとい、怪しげな片言の日本語を操るという、客観的に見れば極めて稚拙な偽装でした。しかし、被害女性たちの前では「結婚すれば軍人恩給が入る」という経済的安心感と、異国のエリート軍人の妻になれるという虚栄心を巧みに刺激し、長期にわたって信じ込ませることに成功したのです。

世界に目を向ければ、映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のモデルとなったフランク・アバグネイルJr.が知られています。1960年代、彼はわずか16歳から21歳までの間に、パンアメリカン航空のパイロット、小児科医、弁護士になりすまし、26カ国で計250万ドル以上の偽造小切手を換金しました。彼の武器は専門知識そのものではなく、制服が醸し出す権威の力(ハロー効果)を徹底的に利用した大胆不敵な立ち振る舞いでした。後の自著で彼は「人は肩書と制服にひれ伏す。相手の目をまっすぐ見て話せば、誰も偽物だとは疑わない」と述懐しています。

さらに、1920年代にパリのエッフェル塔を「老朽化によるスクラップ売却」と偽って屑鉄業者に売り飛ばしたヴィクトル・リュスティックなど、歴史上の天才詐欺師たちは、国家機関の権威や時代の混乱期に生じる人々の不安を最大限に利用する術を熟知していました。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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