酸素投与で昏睡も?二型呼吸不全の真実と1型との違い【現場解説】
酸素投与で昏睡も?二型呼吸不全の真実と1型との違い【現場解説】についての疑問解決ガイドをお届けします。
二型呼吸不全を引き起こす根本原因は、気道・肺実質の問題だけにとどまりません。「呼吸筋」や「神経伝達」、さらには骨格の「胸郭」に至るまで、呼吸という換気ポンプを動かす構造のどこかが破綻すれば容易に発症します。 最も高い頻度を占めるのが慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。長年の喫煙習慣などにより気道に慢性的な炎症が生じ、肺胞壁が破壊されて弾力性を失う気腫型病変が進むと、息を吸うことはできても吐き出すことが極めて困難になります。呼気時に気道が虚脱し、古い空気が肺内に閉じ込められる「エアトラッピング」が起きることで、換気効率が劇的に低下します。 一方で、肺そのものは正常でも二型呼吸不全に陥る疾患群が存在します。 筋萎縮性側索硬化症(ALS)や重症筋無力症、頸髄損傷といった神経筋疾患では、横隔膜や肋間筋を動かす運動神経・筋力が麻痺し、自力で胸郭を押し広げることができなくなります。また、極度の脊柱側弯症などの胸郭形成異常では、物理的に肺が拡張できるスペースが制限される拘束性換気障害から換気不全へ至ります。 近年、臨床現場で増加しているのが肥満低換気症候群(OHS)です。過剰な胸壁・腹壁の脂肪が換気ポンプに過度な負荷をかけ、夜間の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を合併しながら徐々に高二酸化炭素血症が固定化していく病態です。単なる生活習慣病の延長と軽視されがちですが、放置すれば不可逆的な二型呼吸不全へ進行します。