岩崎宏美『聖母たちのララバイ』歌詞の深層と封印された真実

岩崎宏美『聖母たちのララバイ』歌詞の深層と封印された真実の注目されている理由をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。

ネット上やファンの間では、岩崎宏美の初期黄金期を支えたヒットメーカーの印象から「作詞・阿久悠」と混同されるケースが散見されます。しかし、本作の歌詞を手掛けたのは名作詞家・山川啓介です。

阿久悠が『ロマンス』や『思秋期』で見せたのは、少女の揺れ動く自意識やドラマティックな人間模様の切り取りでした。対照的に、山川啓介が『聖母たちのララバイ』に注ぎ込んだのは、社会的地位や強さを脱ぎ捨てた男性を丸ごと受け止める「絶対的な母性のシェルター」という世界観です。

歌詞の冒頭「さあ 眠りなさい 疲れきった体を投げだして」に象徴されるように、本作は外の世界で戦い傷ついた者を一切糾弾しません。当時の日本は高度経済成長の余波と激しい企業間競争の中にあり、猛烈に働く「企業戦士」たちが家庭や社会で疲弊していました。男性を「戦士」として立てつつも、その本質を「母を求める幼子」として包み込む受容の構造が、日本中のリスナーの孤独な心を救済したのです。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest