乾麺そばが劇的に美味しくなる茹で方!名店のコシを生むプロの裏技
乾麺そばが劇的に美味しくなる茹で方!名店のコシを生むプロの裏技の重要ポイントをお届けします。専門的な知識がチェックできます。
昭和の調理本や家庭の口伝で当たり前のように行われてきたのが、鍋が吹きこぼれそうになった際に冷水を注ぐ「差し水(びっくり水)」です。しかし、現代の調理科学においてそば乾麺への差し水の真相は「百害あって一利なし」であることが証明されています。薪やかまどを使用していた時代、火力を瞬時に弱めることができなかったために吹きこぼれ防止策として考案されたのが差し水でした。しかし、現代の高火力ガスコンロやIHヒーター環境で差し水を投入すると、沸騰が強制的に中断され、鍋内の温度が90℃以下まで急激に落ち込みます。
一度下がった湯温が再び100℃に復帰するまでの数十秒間、麺の吸水バランスは崩壊し、外側がふやけて芯に火が通らない最悪の食感を生み出す元凶となります。吹きこぼれを防ぐための正解は、差し水ではなく「コンロの火力を微調整して穏やかな沸騰を維持する」、あるいは「深さのある大鍋を選定する」ことの一択です。
また、テレビ番組「ためしてガッテン」などで紹介されて一大ブームとなった乾麺そばの水戻し技術(乾麺を茹でる前に10分から15分ほど冷水に浸してから熱湯で短時間茹でる技法)にも、知られざる向き・不向きの境界線が存在します。この手法は、事前に麺の芯までしっかりと冷水を浸透させることで加熱時間を大幅に短縮し、生麺のようなモチモチとした弾力を生み出す乾麺そばのプロの裏技として知られています。しかし、ここには看過できない罠があります。
水戻しが絶大な効果を発揮するのは、「小麦粉の含有比率が高い安価な乾麺」に限られます。小麦粉のグルテンは事前吸水によって弾力を増しますが、繊細なそば粉を主体とする十割そばや高級二八そばで水戻しを行うと、そば本来の命である芳醇な香り成分や水溶性の栄養素(ルチンなど)が浸漬水へと大量に溶出してしまうのです。結果として、食感はモチモチするものの蕎麦特有の豊かな風味が完全に抜け落ちた「蕎麦風味のうどん」のような仕上がりになってしまいます。素材のグレードや配合を見極めずに裏技を盲信することは、かえって蕎麦の魅力を損なう要因となります。