朝ドラで沸く小泉八雲記念館の真相|怪談誕生の秘密と見どころ徹底解剖

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2025年秋から放送が始まった朝ドラ『ばけばけ』によって、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・セツへの社会的関心は最高潮に達しています。一般に『怪談』といえば「耳なし芳一」や「雪女」といった背筋が凍る幽霊話として消費されがちですが、作品成立の根底には夫婦による驚くべき「共同作業」が存在していました。

没落士族の娘として苦難を生き抜いていたセツは、幼少期から祖母や周囲の長老たちから土地の民話や伝説を浴びるように聞き育ちました。一方のハーンは、1850年にギリシャ・レフカダ島で生まれ、アイルランドやフランス、アメリカで辛酸をなめ尽くした末、1890(明治23)年に松江の中学校英語教師として着任した異邦人です。母に捨てられ、父からも見放されたハーンの孤独な魂を救ったのが、松江の豊かな自然と、妻となったセツの存在でした。

セツが晩年に遺した回想録『思い出の記』には、夜な夜な行われた怪談の語り聞かせの様子が鮮烈に記されています。

「へるん(ハーン)が怪談を好みますので、私は方々から古本を探してきては読んで聞かせました。私の怪談を聴く時のへるんは、実に真剣そのもので、息をひそめ、顔色を変えて聴き入るのでございます。少しでも私がぞんざいに話そうものなら、『その時の幽霊の顔はどうでしたか』『どんな声で言いましたか』と、恐ろしいほどの迫力で問い詰めてまいりました」

当時、ハーンの日本語力は片言であり、セツも英語は話せませんでした。二人は「ヘルン言葉」と呼ばれる独自の簡潔な日本語の符牒を編み出し、身振り手振りと表情、そして声の抑揚を頼りに心を通わせていたのです。怪談は単に昔話を英訳したものではなく、セツが感情を込めて語った日本の土着の情念を、ハーンが研ぎ澄まされた詩的感性で昇華させた「二人の愛の結晶」にほかなりません。

吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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