高岡早紀の写真集が今なお愛される理由|篠山紀信の傑作から現在の評価
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高岡早紀という表現者のキャリアを語る上で、1990年代半ばに出版された2冊の写真集を避けて通ることはできません。1995年刊行の『one, two, three』、そして翌1996年に世に出た『accident』は、いずれも写真界の巨匠・篠山紀信氏がレンズを向けた記念碑的作品です。
当時、映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994年/深作欣二監督)でお岩役を演じ、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめとする各賞を総なめにした彼女は、名実ともにトップ女優への階段を駆け上がっていました。その絶頂期に放たれた『one, two, three』は、アイドル時代の面影を脱ぎ去り、ひとりの成熟した女性としての肢体を極限の美意識で捉えた作品として社会現象を巻き起こしました。
続く『accident』では、さらに踏み込んだ実験的アプローチが試みられました。南仏やホテルの一室を舞台に、虚構と現実の境界線を曖昧にしたロードムービーのような構成は、従来の「ポートレート写真集」の概念を根底から覆すものでした。当時を知る出版関係者は次のように証言しています。
「篠山紀信さんの現場は、あらかじめ決められたポーズを撮るのではなく、被写体とカメラマンが魂を削り合うような即興劇でした。高岡さんの放つ天性の華と危うい色香が、篠山さんの『激写』レンズと化学反応を起こし、二度と再現できない奇跡の瞬間がフィルムに定着したのです」