男性脳と女性脳の違いは嘘?脳科学が暴くすれ違いの真相と解決策

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かつてベストセラー本や情報番組で盛んに喧伝された「男と女は脳の構造から根本的に異なる」という説は、現代の認知神経科学においてほぼ否定されています。東京大学大学院の四本裕子教授(認知神経科学)をはじめとする国内外の専門家は、男性脳・女性脳という単純化された二元論には科学的根拠が乏しく、むしろ有害なステレオタイプを再生産するリスクがあると警鐘を鳴らしています。

この議論の転換点となったのが、テルアビブ大学のダフナ・ジョエル教授らが2015年に発表した画期的な研究です。研究チームは1,400人以上の脳MRI画像を解析し、灰白質や白質の体積、神経接続パターンを詳細に調査しました。その結果、脳の全領域が「完全に男性的特徴のみ」または「完全に女性的特徴のみ」で構成されている個体はわずか0〜8%にすぎず、大半の人間は男性的な特徴と女性的な特徴がパッチワークのように混ざり合った「モザイク脳」を持っていることが実証されたのです。

また、俗説の根拠として頻繁に引用されてきた「右脳と左脳をつなぐ脳梁(のうりょう)の太さの違い」についても、近年の大規模なメタ分析によって見直されています。1982年に一部の研究者が「女性のほうが脳梁の後部(膨大部)が太く、左右の脳の連携に優れているため直感やマルチタスクが得意である」と報告しましたが、その後の数千人規模の追試では、体格や脳全体の体積の差を補正した場合、統計的に有意な性差は確認されませんでした。

現在確立されている学術的見解では、「脳の構造や機能には性差よりもはるかに大きな個人差が存在する」という事実が浮き彫りになっています。すなわち、「男性脳女性脳の違いは嘘か」という問いに対する最も誠実な答えは、「解剖学的に脳を男型・女型と2つに分類できるという言説は科学的事実ではなく、あくまで思考の傾向を説明するために作られた比喩的表現に過ぎない」ということになります。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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