二型呼吸不全なぜ酸素で悪化?Co2ナルコーシスの罠と命を守る治療法
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臨床現場において「呼吸不全」とは、単に息切れを自覚している状態を指す主観的な言葉ではありません。日本呼吸器学会などの医学的定義では、「室内気を吸っている安静時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(mmHg)以下となる状態、またはそれに相当する重篤な呼吸機能障害」と明確に規定されています。この大前提の上で、患者の血液中に二酸化炭素が溜まっているかどうかによって、「1型」と「二型」の命運が二分されます。
判断の決定打となるのが動脈血液ガス分析です。健常者の体内では、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)は基準値である「35〜45Torr」の極めて狭い範囲にコントロールされています。肺胞での酸素取り込みだけが障害され、二酸化炭素の排出は保たれている(PaCO2が45Torr以下)状態を「1型呼吸不全」と呼びます。間質性肺炎や急性肺血栓塞栓症、重症肺炎などがその代表例です。この場合、換気そのものは行われているため、原則として十分な酸素投与を行うことで状態の改善を図ることができます。
対照的に、二型呼吸不全の本質は「換気障害(換気ポンプ不全)」にあります。肺胞まで空気を吸い込み、それを吐き出すというポンプ機能そのものが疲弊・閉塞しているため、酸素を取り込めないだけでなく、燃えかすである二酸化炭素を体外へ吐き出すことができません。その結果、血液ガス分析でPaCO2が45Torrを超える高炭酸ガス血症を呈し、血液が酸性に傾く「呼吸性アシドーシス(pH 7.35未満)」を引き起こします。酸素を与えるだけでは二酸化炭素の蓄積を解決できず、むしろ病態を破滅的な方向へと加速させてしまう点が、1型との決定的な分岐点です。