タカタ製エアバッグ異常破裂の真相|リコール連鎖と倒産の歴史を総括
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タカタ製エアバッグで起きた悲劇の核心は、衝突時にバッグを瞬時に膨らませる金属筒、すなわちインフレーター(ガス発生装置)の設計にありました。タカタは1990年代末、他社が使用していた高価なテトラゾール系化合物の代替として、劇的にコストを抑えられる「硝酸アンモニウム」をガス発生剤に採用しました。
硝酸アンモニウムは火薬や肥料の原料として広く知られる一方、温度変化と湿度によって結晶構造が変化(相転移)し、吸湿すると極めて不安定になる性質を持ちます。高温多湿な環境下で長期間さらされたインフレーター内部では、ガス発生剤が徐々に劣化・粉末化。衝突時に点火された瞬間、想定を大幅に超える猛烈なスピードで燃焼が進み、内圧に耐え切れなくなった金属製キャニスターが粉々に破裂する事態を招きました。
本来であれば乗員の頭部や胸部をやさしく受け止めるはずのクッションから、手榴弾の破片のように鋭利な金属片が車内に高速で射出されるという、安全装置としてあってはならない致命的な欠陥でした。