高齢社長が引退しない心理と末路|後継者不在の倒産を防ぐ事業承継の現実解

高齢社長が引退しない心理と末路|後継者不在の倒産を防ぐ事業承継の現実解にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

仮に形式上の社長交代を果たしたとしても、前社長が顧問や名誉会長として残る権力院政の弊害が、組織を内部から腐敗させるケースが後を絶ちません。代表権を後継者に譲ったはずの前社長が、社内で専用の会長室に陣取り、新社長の頭越しに古参幹部へ直接指示を出す「二重指揮系統」の発生です。

都内の卸売企業で新社長に就任した長男は、先代である名誉会長の振る舞いについて苦渋の告白をしています。

「朝令暮改は日常茶飯事でした。私が役員会で決定した新規事業の計画を、翌朝出社した名誉会長が『あんなものは聞いていない』と鶴の一声で白紙に戻してしまう。古参の役員たちも私の指示ではなく会長の顔色ばかりを伺うようになり、組織の統制は完全に崩壊しました」

さらに、同族企業特有の親族内承継のトラブルは、感情的なもつれが加わるため深刻さを極めます。「会社の株式をすべて後継者に集中させたい先代」と、「法定相続分としての遺産分割を求める他の兄弟姉妹」との間で発生する株式の分散問題です。自社株の評価額が高ければ高いほど莫大な贈与税・相続税が発生し、納税資金を確保できずに自社株買いを行って会社の資金繰りが逼迫する本末転倒の事態も散見されます。

ネット上のコミュニティや相談窓口には、「引退しない父親を法的に辞めさせたい」「名誉会長の暴走を止める手段はないか」といった後継者たちの悲鳴に似た相談が数多く寄せられています。家族関係の甘えがガバナンスを機能不全に陥らせる構図は、多くの日本企業が抱える暗部です。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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