なぜ巨体が鳥1羽で墜落寸前に?バードストライクの衝撃実態と最新対策
なぜ巨体が鳥1羽で墜落寸前に?バードストライクの衝撃実態と最新対策について知っておくべき 注意点を厳選して解説いたします。
バードストライク被害実態の中で、運行継続を脅かす最大の危機がジェットエンジン破損です。現代の高バイパスターボファンエンジンは、前方の巨大なファンブレードで毎分何千回転もの猛烈な勢いで空気を吸い込んでいます。ここに鳥が吸い込まれる(FOD: 外国物質による損傷)と、チタン製のブレードが飴細工のようにへし折れ、コンプレッサーの内部で金属破片が連鎖的に内部パーツを切り刻む「コンプレッサー・ストール(失速)」やフレームアウト(火災・エンジン停止)を引き起こします。
この脅威を全世界に知らしめた象徴的な事例が、2009年に発生した通称「ハドソン川の奇跡」(USエアウェイズ1549便不時着水事故)です。ニューヨーク・ラガーディア空港を離陸直後、高度約850mで体重約4kgの大型野鳥「カナダガン」の群れと遭遇。左右2基のエンジン双方に複数の鳥が同時に吸い込まれ、推力を完全に喪失しました。
当時の機長チェズレイ・サレンバーガー氏は、後の特番インタビューや手記において「激しい衝撃音とともに機体が激しく振動し、直後にこれまで嗅いだことのない鳥が焼けるような異臭が空調からコックピットに立ち込めた」と生々しく振り返っています。同便は奇跡的にハドソン川へ着水し犠牲者をゼロに抑えましたが、通常であれば大惨事に直結する航空機重大インシデントの典型例として、世界の航空関係者に強烈な教訓を刻み込みました。