医師は師で弁護士は士?漢字の使い分け基準と驚きの語源を徹底解明
医師は師で弁護士は士?漢字の使い分け基準と驚きの語源を徹底解明の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
現代の肩書を観察すると、かつて「士」や「婦」と呼ばれていた職業が、時代の潮流とともに名称変更を遂げたケースが確認できる。その代表例が、看護業界と保育業界の劇的な変革である。
最も社会的なインパクトをもたらしたのが、看護師と看護士の違いと改称理由である。2001年(平成13年)の法改正以前、日本の医療現場では女性を「看護婦」、男性を「看護士」と呼び分けていた。1948年に制定された保健婦助産婦看護婦法のもと、看護業務は長らく女性の職業として制度化され、男性看護師の存在は例外的な扱いに留まっていた。
しかし、男性看護師の増加とともに「性別によって名称を区別するのは合理的ではない」「男女共同参画社会に逆行する」という現場の声が噴出。日本看護協会の強い働きかけもあり、2001年12月に法律名が「保健師助産師看護師法」へと改称され、2002年3月1日施行をもって「看護師」へと一本化された。このとき「士」ではなく「師」が選ばれたのは、患者の療養生活を包括的に指導・ケアする医療専門職としての自律性を高めるため、医師らと同様に「人を導く師」としての位置づけが妥当と判断されたからにほかならない。
これと対照的な軌跡を辿ったのが、保育士が士である理由である。保育現場の主役は、長年「保母(男性は保父)」という名称で親しまれてきた。しかし、1997年(平成9年)の児童福祉法改正(1999年施行)により、男女の区別をなくすとともに、単なる家庭的養育の代替者から、高度な児童心理や専門的養護技術を持つ専門職へと昇格させる狙いから国家資格としての「保育士」が誕生した。
なぜ保育「師」ではなく「士」だったのか。当時の厚生省の検討会資料や国会論争を検証すると、幼稚園教諭のように教育免許(教員=師)を持つ職種との役割分担を明確にしつつ、法律に基づき専門的知識をもって児童の保育及び保護者への保育指導を行う「自立した専門技術者(士)」として位置づける方針が採られたためである。