不知火(しらぬい)とは?デコポンとの違いや怪火の謎を徹底解明
不知火(しらぬい)とは?デコポンとの違いや怪火の謎を徹底解明の真相について、専門知識を基に徹底解説します。
不知火の歴史は、決して平坦なものではありませんでした。1972年、農林水産省果樹試験場口之津支場(長崎県)で交配育成された当初、この果実は関係者の間で「失敗作」の烙印を押されかけた過去を持ちます。
当時の柑橘流通において重視されていたのは「外見の均一さ」と「早期の食味」でした。果頂部が不揃いに飛び出た奇妙な形状、収穫直後の強烈な酸味、そして当時の栽培技術では隔年結果(1年おきにしか実がつかない現象)が激しかったことから、国レベルの研究機関では品種登録の継続を断念され、放置に近い状態に置かれていたのです。
この見捨てられた苗木に着目したのが、対岸に位置する熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)の生産者たちでした。「この果汁の濃厚さと香りは、寝かせて酸を抜けば必ず天下を取れる」――そう確信した篤農家たちは、接ぎ木を重ね、土壌管理や貯蔵による減酸技術を研究し続けました。努力が実を結び、1990年代に入ると「不知火」の名で市場を席巻。現在でも熊本県は全国の生産量の約3割を占めるトップ産地として君臨し、愛媛県、和歌山県、佐賀県などがそれに続いています。