脱分極とは?神経と心電図の興奮メカニズムや再分極との違いを解説

脱分極とは?神経と心電図の興奮メカニズムや再分極との違いを解説の背景について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

生命維持の根幹をなす「細胞の興奮」を理解するうえで、避けて通れない基本概念が脱分極です。一言で表現すれば、脱分極とは「マイナスに分極(偏り)していた細胞内部の電気的バランスが崩れ、プラス側へと電位が跳ね上がる現象」を意味します。

静止膜電位とイオン濃度勾配の成り立ち

刺激を受けていない安静時の細胞膜は、外側がプラス、内側がマイナスの電気を帯びて安定しています。この状態を「分極」と呼び、細胞膜の内外に生じている電圧の差を静止膜電位と呼びます。一般的な神経細胞では約-70mV、骨格筋や心筋細胞では約-90mVに保たれています。 なぜ細胞内がマイナスに保たれているのか。その理由は、細胞膜に存在する「ナトリウム-カリウムポンプ(Na⁺/K⁺-ATPase)」がエネルギー(ATP)を使って、常にナトリウムイオン(Na⁺)を細胞外へ3個汲み出し、カリウムイオン(K⁺)を細胞内へ2個取り込んでいるためです。この絶え間ない働きにより、細胞外はNa⁺が高濃度、細胞内はK⁺が高濃度という「イオン濃度勾配」が形成されます。 さらに、細胞膜には安静時でもカリウムを少しずつ外へ漏らす「漏洩カリウムチャネル」が存在します。プラスの電気を持つK⁺が細胞外へ逃げていく一方で、細胞内にはプラスを出せない大型の有機陰イオン(タンパク質など)が取り残されるため、細胞内部は常にマイナスの電位に維持されているのです。

ナトリウムイオンチャネルの開口と活動電位の発生

この平穏な均衡を破るのが「刺激」です。細胞膜にある受容体やチャネルが電気的・化学的な刺激を受けると、細胞膜に埋め込まれた電位依存性ナトリウムイオンチャネルが開口します。 細胞外に豊富に存在するNa⁺にとって、細胞内は「濃度が低い場所」であり、なおかつ「マイナスの電気を帯びた引き寄せられる場所」です。そのため、チャネルが開いた瞬間に、莫大な量のNa⁺が濃度勾配と電気的勾配の双方に従って細胞内へと雪崩を打つように流入します。 このプラスイオンの急激な流入により、細胞内の電位は一気にマイナスからゼロを超え、+30mV程度まで跳ね上がります。この電位の逆転現象こそが「脱分極」であり、この一連の急峻な電位変化を活動電位と呼びます。

局所電位と活動電位の違い|「全か無かの法則」

生理学の学習で極めて重要なハードルとなるのが、「局所電位(受容器電位・シナプス後電位)」と「活動電位」の峻別です。 細胞に加えられた刺激が弱い場合、Na⁺の流入はわずかにとどまり、電位は少しだけ上がった後ですぐに元の静止膜電位へと戻ってしまいます。これが局所電位です。局所電位は刺激の強さに応じて電位の大きさが変化し、距離が離れると減衰します。 しかし、刺激の強さが一定の境界線である「閾値(いきち:約-55mV)」を超えると状況は一変します。周囲の電位依存性Na⁺チャネルが一斉にポジティブフィードバックを起こして全開となり、刺激の強弱にかかわらず常に最大振幅の活動電位を発生させます。 この「閾値未満の刺激では全く興奮が起きず、閾値を超えれば刺激の強さに関わらず常に一定の最大興奮が起きる」仕組みを、生理学では全か無かの法則(All-or-none law)と呼びます。

斉藤 蓮

斉藤 蓮

デジタルマーケティングコンサルタント

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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