腹腔鏡手術の術後はいつまで痛む?痛みのピークと仕事復帰のリアル
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腹腔鏡手術の術後、多くの患者が直面する苦痛は単一ではありません。腹部の数カ所の小さな傷から生じる「体性痛」、切除や剥離を受けた臓器周囲の「内臓痛」、そして特有の気腹(お腹を膨らませる処置)に伴う「放散痛」の3つが複雑に絡み合っています。
創部と内臓の痛みのピークは、麻酔の影響が薄れる術当日夜から術後24〜48時間です。この間は鎮痛ポンプ(硬膜外麻酔や持続静脈鎮痛法)や座薬、点滴がフル活用されます。歩行を開始する術後2日目以降、創部自体の鋭い痛みは徐々に鈍い痛みに移行し、通常は術後3〜5日を境に日常生活動作で我慢できるレベルへと落ち着いていきます。
一方、患者を困惑させるのが「術後のお腹の張りとガスの貯留」、そして「肩や首すじを襲う激しい痛み」です。腹腔鏡手術では、視野と作業スペースを確保するために腹腔内へ炭酸ガス(二酸化炭素)を注入します。手術終了時にガスは可能な限り体外へ排出されますが、微量に残存した炭酸ガスが腹膜や横隔膜を押し上げ、持続的な膨満感をもたらします。
この炭酸ガスが横隔膜を刺激すると、横隔神経を経由して首や肩の感覚神経へとシグナルが伝達され、首から肩甲骨周りにかけて強い凝りや突き刺すような痛みが生じます。これが「肩の放散痛(関連痛)」と呼ばれる現象です。決して肩そのものが悪くなったわけではなく、体内に残った炭酸ガスは2〜3日かけて血中に吸収され、呼吸によって呼気から排出されるため、時間経過とともに自然消失します。