尊属殺違憲判決の真相|最高裁が刑法200条を無効とした決定打

尊属殺違憲判決の真相|最高裁が刑法200条を無効とした決定打の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

最高裁の判断を大きく動かした契機は、昭和43年(1968年)に発生した「栃木実父殺害事件」でした。当時29歳だった女性が、53歳の実父の首を紐で絞めて窒息死させた事件です。捜査と公判の過程で法廷に提出された証言記録や手記には、言葉を失うほど凄絶な地獄の日々が克明に記されていました。

被告人の女性は14歳の頃から実父により性的暴行を受け始め、以降15年近くにわたり日常的な暴力と脅迫によって完全な支配下に置かれていました。父親は女性を外部から隔離し、女性との間に5人もの子どもを出産させるという、常軌を逸した監禁・性的虐待状態を継続させていたのです。

女性が勤務先で出会った男性と結婚して過酷な環境から脱出しようとした際、実父は激怒して女性を連れ戻し、監禁した上で暴行を激化させました。さらに「相手の男性やその家族を皆殺しにする」と脅迫された女性は、追い詰められた極限状態の中で、実父を殺害する以外の選択肢を奪われていたと証言しています。

第一審の宇都宮地裁は女性の境遇に深い同情を示し、旧刑法200条を「憲法14条に違反して無効」と判断して普通殺人罪を適用、懲役3年・執行猶予3年の温情判決を言い渡しました。しかし、東京高裁は従来の最高裁判例を踏襲して刑法200条を「合憲」とし、実刑判決(懲役3年6月)を下しました。被告人側弁護団は「この法制度は個人の尊厳を踏みにじり、著しく不当である」として最高裁に上告したのです。

清水 千尋

清水 千尋

フード&トラベルライター

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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