イサムカタヤマ バックラッシュの真髄|熱狂の理由と評判を徹底解剖
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ブランドの創業者でありデザイナーである片山勇氏は、広島県の職人気質な出自からバッグメーカーでの修行を経て、1999年に自身のレーベルを設立しました。当時のメンズファッション界は、モードとストリートが融合し始めた洗練の時代。その真逆を行くかのような「泥臭く、野生味に満ちた革製品」は、瞬く間に高感度なバイヤーたちの目を奪いました。
世界的な評価を決定づけたのが、牧野耕一監督によるドキュメンタリー映画『ISAMU KATAYAMA - ARTISANAL LIFE』でも克明に描かれたヨーロッパ進出です。パリの展示会で発表された作品群は、単なる衣服の領域を超え、工芸美学の結晶として海外メディアから「ジャパニーズ・アルチザンの奇跡」と称賛されました。
その熱狂のセンターにあるのが、ブランドの代名詞である「製品染め(ガーメントダイ)」です。通常のアパレルでは、あらかじめ均等に染色された革を裁断・縫製して製品化します。しかしBACKLASHでは、生成りの牛革や馬革でジャケットを完全に仕立て上げた後、巨大なドラム釜の中に過酷な染料とともに放り込み、熱湯で約数時間かけて丸ごと染め上げます。
この過激な工程により、革は20%以上も急激に収縮し、強烈なシワとウネリ、そして繊維の奥深くに凝縮された独特の陰影を獲得します。金属製のファスナーは熱で歪み、裏地にはランダムな染めムラが走る。工業製品としては「規格外」とされるこれらの不均質さこそが、量産品には絶対に宿らない生々しい色気を生み出しているのです。