なぜ名作映画は黄色とオレンジに染まるのか?観客を操る視覚の罠
なぜ名作映画は黄色とオレンジに染まるのか?観客を操る視覚の罠について知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。
対照的に、オレンジを「文明の死」の象徴として叩きつけたのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だ。ワーナー・ブラザースが配給を手がけたサイエンス・フィクションの金字塔『ブレードランナー 2049』において、荒廃したラスベガスの情景は映画史に深く刻まれている。
核の灰と砂塵に覆われたその空間は、息苦しいほどのディープオレンジ一色に染め抜かれていた。太陽光が遮断され、見通しの利かない街を彷徨う主人公。視界を遮る赤橙のトーンは、観客の肺腑を圧迫するような閉塞感をダイレクトに生み出す。近未来を描くSFといえば長らく冷徹なシアンやネオンブルーが定石だったが、ヴィルヌーヴはその常識を粉砕し、灼熱の乾きこそがディストピアの真の姿であると見せつけた。