なぜ必要?ヘルムホルツの自由エネルギーとギブズの違いや導出の核心
なぜ必要?ヘルムホルツの自由エネルギーとギブズの違いや導出の核心に関する基本知識を徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。
熱力学の枠組みだけでも完成された美しさを持つヘルムホルツの自由エネルギーですが、その真価が最も鮮烈に発揮されるのは統計力学と分配関数の結びつきにおいてです。
温度 $T$、体積 $V$、粒子数 $N$ が一定の系を記述するカノニカルアンサンブル(正準集団)において、各微視的状態 $i$ が実現する確率はボルツマン因子 $\exp(-\beta E_i)$(ここで $\beta = \frac{1}{k_B T}$)に比例します。この確率の総和として定義される分配関数 $Z$ は、次のように表されます。
$Z = \sum_i \exp(-\beta E_i)$
このミクロな状態の数え上げである分配関数 $Z$ と、マクロな熱力学を結びつける「架け橋」となるのが、まさにヘルムホルツの自由エネルギーです。
$F = -k_B T \ln Z$
分配関数 $Z$ の対数を取って $-k_B T$ を掛けるだけで、マクロな自由エネルギー $F$ が直接求まります。一度 $F$ が手に入れば、$F$ を温度で微分すればエントロピー $S = -(\frac{\partial F}{\partial T})_V$ が、体積で微分すれば圧力 $P = -(\frac{\partial F}{\partial V})_T$ が得られ、すべての熱力学量が数式的に再現されます。
物性理論の論文や計算物理のアルゴリズムにおいて、まず計算されるのがギブズではなくヘルムホルツの自由エネルギーである理由はここにあります。ハミルトニアンから直接計算できる分配関数とダイレクトに結合しているポテンシャルこそが、ヘルムホルツの自由エネルギーなのです。