不思議の国のアリス症候群の真実|大人の原因と見え方・治し方を解説
不思議の国のアリス症候群の真実|大人の原因と見え方・治し方を解説の重要ポイントをご紹介します。専門的な知識が詰まっています。
物が歪んで見える根本的な原因は、空間認識と自己身体の定位を司る脳の頭頂後頭接合部(TPO接合部)や側頭葉の神経活動の一時的な乱れにあります。この部位の血流が急激に低下、あるいは異常興奮を起こすことで、網膜が捉えた映像を脳が正しく再構成できなくなるのです。しかし、その引き金となる基礎疾患は大人と子どもで明確に二極化しています。
小児期(主に5歳〜12歳前後)における最大の原因は、小児期に好発するEBウイルス感染症(伝染性単核球症)です。EBウイルスやインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルスなどが中枢神経系に一過性の炎症や免疫反応を引き起こし、脳の視覚処理中枢に機能変化をもたらします。小児の脳は発達段階にあり神経回路が未成熟なため、微細な炎症や発熱でも知覚の乱れが生じやすいとされています。
一方、思春期以降から成人にかけての発症では、片頭痛前兆としての発現が圧倒的多数を占めます。片頭痛発作の直前に脳の神経細胞が過剰興奮し、その波が後頭葉から前頭葉へとゆっくり広がる現象(皮質拡延性脱分極:CSD)によって、視覚野の局所血流が一時的に低下します。キラキラした光が広がる「閃輝暗点」と同様の機序で、アリス症候群の視覚変容が引き起こされるのです。また、成人の場合は片頭痛以外にも、脳動脈瘤、てんかん(側頭葉てんかん)、特定の抗不安薬や睡眠薬の反跳作用などが契機となるケースも報告されています。