伊黒と甘露寺「おばみつ」結末の真相|告白と定食屋の輪廻転生
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一方で、甘露寺を深く愛しながらも、生前に想いを告げることができなかった伊黒の胸中には、さらに根深い血塗られた自己嫌悪が横たわっていました。常に口元を覆っていた包帯の裏に隠されていたのは、おぞましい過去の傷跡です。
伊黒が生を受けたのは、下半身が蛇の姿をした異形の鬼を崇拝し、他者から奪った富で私腹を肥やす強欲な女系一族でした。370年ぶりに生まれた男児であった伊黒は、赤子の頃から座敷牢に幽閉され、将来鬼に捧げる生贄として肥育されます。12歳になったある日、鬼の気まぐれによって「鬼の口と同じ裂け目」を顔に刻むよう命じられ、一族の女たちの手で口角を耳元まで切り裂かれました。伊黒小芭内の包帯の理由は、肉体に刻まれたその生々しい傷痕を隠すと同時に、人間性を捨てて私利私欲に狂った一族の「汚濁の記憶」を自らの視界から遮断するための防壁でもあったのです。
後に当時の炎柱・煉獄槇寿郎によって救出されたものの、一族の生き残りからは「お前のせいで親族全員が鬼に殺された」となじられ、伊黒の魂には「自分は汚れた血族の生き残りである」という苛烈な自己否定が刷り込まれました。この伊黒小芭内の過去の経緯こそが、純粋無垢で太陽のように輝く甘露寺に対する遠慮と崇拝を生み出していました。
原作第188話の手記的独白において、伊黒は「無惨を倒して自らの汚れた肉体を死なせ、清浄な血に生まれ変わることができたなら、その時こそ君に好きだと伝えたい」と告白しています。自らを徹底して断罪する伊黒にとって、甘露寺は触れてはならない神聖な光であり、現世で結ばれる権利を自らに禁じるほどの強烈な倫理的縛りとなっていたのです。