マラソンのペースメーカーとは?そのまま優勝の可否や報酬の真相
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マラソンファンが一度は抱く最大の疑問が、「ペースメーカーは途中でやめず、そのままゴールして優勝してもいいのか?」という点です。
結論から言えば、世界陸連(World Athletics)の現行ルール上、ペースメーカーがそのまま走りきって優勝することは完全に認められています。ペースメーカーであっても、大会には他の招待選手や一般選手と同様にゼッケンを付与された「正式な出走選手」として登録されているためです。もし規定の距離を過ぎても体力が残り、後続を突き放して1位でフィニッシュラインを越えた場合、ペースメーカー 順位 公式記録は正式な優勝および公認記録として歴史に刻まれます。
実際に、世界の陸上史にはペースメーカーが主役を食って優勝してしまった驚愕の事件が記録されています。
最も有名な事例が、1994年のロサンゼルス・マラソンです。アメリカのポール・ピルキントン(Paul Pilkington)は、25km地点までを先導するペースメーカーとして約3,000ドルの契約で雇われていました。しかし、25kmを過ぎてもピルキントンの脚は驚くほど軽く、背後を振り返っても本命選手たちが牽制し合って一向に追いついてきません。「行けるところまで行こう」と決断した彼はそのまま独走を続け、2時間12分13秒で見事に優勝。想定外の優勝賞金と副賞の高級車を手にし、大会関係者の度肝を抜きました。
さらに2003年のベルリンマラソンでは、ポール・テルガトのペースメーカーを務めたサミー・コリール(Sammy Korir)が、役目を終えた後も凄まじい粘りを見せてテルガトと歴史的なデッドヒートを展開。テルガトが2時間4分55秒の世界新記録(当時)で優勝したわずか1秒後ろ、2時間4分56秒の歴代2位(当時)で2位に飛び込むという伝説を残しました。
なぜ多くのペースメーカーは途中で棄権するのか?
では、なぜ彼らはピルキントンのように最後まで走らないのでしょうか。ペースメーカー 棄権 理由の根底には、プロとしての契約義務と極限の肉体マネジメントがあります。
第一に、彼らの契約は「30kmまでを1km2分53秒のイーブンペースで刻むこと」のように定められており、その任務を完遂した時点でプロとしての仕事は100点満点です。第二に、世界記録水準のペースは最初からフルマラソンを完走する設計ではなく、ハーフマラソンや30kmまでの「超オーバースペック」で飛ばしているため、予定距離を超えて走り続ければ筋肉の損傷や脱水によって後半に大失速するリスクが極めて高いのです。次の本命レースを控えているトップランナーにとって、無理な完走で選手生命を削ることは職業倫理に反する行為と言えます。