泥臭さと色気で魅せる北村匠海、新時代の日本映画を牽引する全軌跡

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北村匠海という名前を日本中の観客の記憶に焼き付けた決定打といえば、2017年の『君の膵臓をたべたい』に他ならない。彼が演じた「僕」は、クラスメイトの誰とも関わろうとせず、図書室の静寂に閉じこもる孤独な高校生だった。浜辺美波が演じるヒロイン・桜良の奔放な光に当てられ、少しずつ心の扉を軋ませながら開いていくグラデーション。東宝配給の王道ラブストーリーでありながら、単なるお涙頂戴に終わらなかったのは、彼の放つ抑制されたトーンがあったからだ。

感情を声高に叫ぶのではなく、視線の泳ぎ方や指先の強張りで心の揺らぎを語るスタイル。この作品で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した瞬間、彼は「青春映画の旗手」としての切符を手に入れた。だが本人は、その甘やかなレッテルに安住する気など毛頭なかったのだ。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

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