寿命と免疫を劇的に変える?腸内を満たす「酪酸菌」の驚異の真実
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日本における研究の歴史は、世界的に見ても驚くほど古い。1933年、千葉医科大学(現・千葉大学医学部)の衛生学教室にいた宮入近治博士が、健康なヒトの腸管から極めてユニークな嫌気性芽胞形成菌を分離することに成功した。これこそが、現在学名として知られる酪酸菌(Clostridium butyricum)、通称「宮入菌」である。
戦前の過酷な衛生環境下において、この菌はチフスや赤痢といった激烈な感染症から人々を救う切り札として見出された。強靭な芽胞を持つため抗生物質の攻撃すら耐え抜き、大腸深部まで到達して悪玉菌の増殖を鮮やかに封じ込める。この発見を礎に設立されたのがミヤリサン製薬株式会社であり、同社が世に送り出した整腸製剤は、昭和から令和に至るまで日本人の腸を守り続けてきた。かつては経験則的に語られていたその薬効が、今や世界最高峰の分子生物学のメスによって、必然のメカニズムであったと証明されつつある。