50メートル走世界記録の歴代最速とボルト5秒47の真相!日本の壁を解剖
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陸上界における「50メートル走世界記録」を議論する際、まず整理しなければならないのが室内陸上公認記録と屋外100メートル走における途中計時(スプリットタイム)の明確な区別です。
世界陸連(World Athletics)が公認する男子50メートルの世界記録は5秒56。この大記録は、1996年2月9日にカナダのスプリンターであるドノバン・ベイリーがアメリカ・ネバダ州リノの室内大会で樹立しました。その後、1999年2月13日にはアメリカの弾丸スプリンター、モーリス・グリーンがロサンゼルスで同タイムの5秒56をマークし、タイ記録として歴史に名を刻んでいます。
一方で、ファンの間で「人類最速の50メートル」として語り継がれるのがウサイン・ボルトの存在です。ボルトは2009年ベルリン世界陸上男子100メートル決勝において、9秒58という空前絶後の世界新記録を打ち立てました。国際陸連のバイオメカニクス研究班がハイスピードカメラとセンサーで詳細に分析した学術データによると、ボルトの100m途中通過タイムにおける50メートル地点の計測値は5秒47(リアクションタイム0.146秒を含む)を記録していました。
数字上はベイリーやグリーンの公認記録を約0.09秒も上回っています。しかし、これはあくまで100メートルレースのプロセスを切り取った「非公認記録の真相」であり、単独の50メートル競走としてゴールしたわけではないため、公式の世界記録一覧にボルトの名が刻まれることはありません。50メートルの単独種目であれば、選手はゴールライン手前でトルソー(胴体)を前傾させるフィニッシュ動作に入り減速局面を迎えますが、100メートルの途中通過では50メートルから60メートルにかけて最高速度(ボルトの場合は時速約44.72km)へと加速し続けている最中である点も、運動力学上の大きな相違点です。