君が代はヘブライ語なのか?日ユ同祖論の真相を専門家が徹底検証
君が代はヘブライ語なのか?日ユ同祖論の真相を専門家が徹底検証についての疑問解決ガイドをご紹介します。
この奇妙な解釈は、一体いつ、誰の手によって生み出されたのでしょうか。歴史を紐解くと、この説の主唱者はイスラエルの研究家ヨセフ・アイデルバーグ(Joseph Eidelberg, 1916–1985)に行き着きます。
アイデルバーグ氏は元イスラエル軍将校であり、世界の民族移動史を追究する中で日本文化に強い関心を抱きました。1980年代に刊行された自著『日本人とユダヤ人』や『大和民族はユダヤ人だった』において、彼は日本語とヘブライ語の音韻の類似性を数多く挙げ、その白眉として「君が代のヘブライ語解読」を世に問いました。彼が唱えたのは、アッシリア捕囚によって歴史から姿を消した失われた10支族の日本渡来説です。
古代イスラエル王国が分裂した後、紀元前722年にアッシリア帝国によって滅ぼされた北イスラエル王国の「10支族」は、ユーラシア大陸東方へと姿を消しました。彼らがシルクロードを東進し、最終到達地である日本列島に辿り着いて大和朝廷の基礎を築いたとする言説こそが、幕末から明治期にかけてスコットランド人のノーマン・マクレオドらによって持ち込まれ、大正・昭和のオカルティズムと結合した日ユ同祖論と君が代の原点です。
アイデルバーグ氏の著作は、日本の古代史ミステリー愛好家の間で一大センセーションを巻き起こしました。当時を知る出版関係者は「神代文字や古史古伝ブームに沸いていた1980年代の読書界において、元イスラエル人が日本語の国歌をヘブライ語だと断言したインパクトは絶大だった」と振り返ります。しかし、彼の研究手法は厳密な言語比較の手続きを大きく逸脱したものでした。