中島みゆき「時代」歌詞の深層|半世紀愛され涙を誘う誕生秘話と真実
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中島みゆきの公式バイオグラフィーおよび当時の音楽関係者の回顧録を紐解くと、この不朽の名曲が誕生した背景には、きわめて切迫した個人的な葛藤がありました。中島みゆき「時代」の発売年は1975年12月21日(2ndシングル)。しかし、楽曲自体の骨格が生まれたのは彼女が藤女子大学を卒業した直後、23歳前後の時期です。
当時、北海道帯広市で産婦人科医を営んでいた最愛の父親が脳出血で倒れ、昏睡状態に陥るという過酷な試練に見舞われていました。就職先や将来の音楽活動に対する不安、そして肉親の命が危ぶまれる恐怖。自著や当時の特番インタビューにおいて本人が振り返っているように、「もう二度と笑顔にはなれないのではないか」という絶望的な心理状態のなかで、自分自身を必死に支えるために紡ぎ出された独白こそが、この歌の原型でした。
1975年10月、この曲は「第10回ポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)」に出選して見事にグランプリを獲得。さらに同年11月、日本武道館で開催された「第6回世界歌謡祭」においてグランプリを受賞したことで、中島みゆきという不世出のシンガーソングライターの名は一気に世界へ轟くことになります。わずか20代前半の若き女性が、老成した悟りすら漂わせる歌詞を書き上げた背景には、極限状態を生き抜くための切実な精神の闘いがあったのです。