空を覆う蝗害の恐怖!バッタが狂暴化する謎と日本への影響を徹底解剖
空を覆う蝗害の恐怖!バッタが狂暴化する謎と日本への影響を徹底解剖にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。
「蝗害」は一般に「こうがい」と読みます。文字通り「蝗(イナゴ、あるいはトビバッタ)」による深刻な農業被害・災害を指す言葉です。ただし、日本の水田で見かける一般的なイナゴが単独で稲をかじる被害とは次元が異なり、群れを成して飛来するバッタ類(飛蝗=ひこう)が、農作物や樹木、牧草などあらゆる植物を壊滅的に食い尽くす現象を意味します。
多くの人が抱く最大の疑問は、「なぜ普段はおとなしいバッタが突然、狂暴化して大群を作るのか」という点でしょう。その鍵を握るのが、生物学で「相変異(そうへんい)」と呼ばれる驚くべき形態変化です。
バッタは、周囲の生息密度が低い環境では緑色を基調としたおとなしい「孤独相(こどくそう)」として育ちます。ところが、乾燥地帯にまとまった降雨があり植物が急増した後に乾燥が進むと、狭い草地に大量の幼虫が密集します。この過密環境下で幼虫同士の後肢(後ろ足)が互いに触れ合い続けると、神経伝達物質であるセロトニンが急増し、脳とホルモンバランスが劇的に変化するのです。
この刺激を受けて脱皮を繰り返した個体は、鮮やかな黒とオレンジや褐色の警告色を帯びた「群生相(ぐんせいそう)」へと変貌します。群生相となったバッタは翅(はね)が長く伸びて飛行能力が飛躍的に高まるだけでなく、筋肉量が増大し、旺盛な食欲と攻撃性、そして「群れから離れず同じ方向へ飛び続ける」という強い集団行動性を獲得します。これが、温厚な昆虫が空を覆う破壊兵器へと変貌する生物学的メカニズムです。