「いい子・悪い子」の基準に潜む罠|大人都合のレッテルと心の真相

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日本における「善・悪・普通」のキャラクター類型化のルーツを語る上で欠かせないのが、昭和の人気バラエティ番組『欽ドン!良い子悪い子普通の子』です。番組から誕生したユニット「イモ欽トリオ」は社会現象となり、ヨシ男(山口良一)、ワル男(西山浩司)、フツ男(長江健次)それぞれのキャラクター付けは、人々の認知に強烈なインパクトを残しました。

注目すべきは、欽ドン良い子悪い子普通の子キャスト経歴とその後の歩みです。優等生として描かれたヨシ男役の山口良一氏は確かな芝居力でバイプレイヤーの地位を確立し、ツッパリの代名詞だったワル男役の西山浩司氏は後に料理の腕を活かした飲食店経営や渋みのある俳優業へシフト。フツ男役の長江健次氏も波乱万丈のキャリアを経て実力派アーティストとして活動を継続しています。彼ら個々の人間味あふれる歩みを見れば、かつて番組が提示したシンプルな3分類のフレームを軽やかに飛び越えている事実が分かります。メディアが作り出したステレオタイプは、あくまで一過性のエンターテインメントに過ぎず、生身の人間の多面性を閉じ込めることはできません。

この「いい子・悪い子」を巡る問題意識は、児童書の世界にも深く息づいています。ロングセラーとして知られる絵本いいこわるいこの評判を検証すると、保育者や親たちの世代交代とともに、受け止め方に大きな地殻変動が起きていることが分かります。かつては「ルールを守る大切さを諭す教訓本」として読まれていた作品群が、現在では「何をもって『いいこ』とするのか、親のあり方を問い直す批評的テキスト」として再評価されています。

絵本の中で描かれるコミカルな行動の対比を通じて、読者である大人は「自分自身の都合のよい型に子どもを押し込めていないか」という内省を促されるのです。昭和の娯楽が提示した類型化から、令和の絵本が投げかける内省へ――日本社会における「親と子の規範」は確実に再定義されつつあります。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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