新宿アドホックビルの現在地|解体の真相と人気テナント変遷の全貌
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新宿アドホックビルの歴史は、日本の若者消費文化の変遷そのものだ。竣工は高度経済成長期の熱気が冷めやらぬ1969年(昭和44年)。地上8階・地下3階、延床面積約1万平方メートルを超える規模で誕生したこのビルは、オープン直後から新宿東口のトレンドセッターとしての地位を確立した。
当時を知る元アパレル関係者は、当時の熱狂を次のように振り返る。
「1970年代から80年代にかけて、アドホックビルは最新のアイビールックやモッズファッションを求める若者で溢れ返っていました。週末の靖国通り沿いにはアドホックのショッパーを提げた若者が列をなし、待ち合わせ場所としても機能していた。あの場所に行けば時代の最先端に触れられるという熱気がありました」
とりわけ多くの人々の記憶に刻まれているのが、「サンリオギフトゲート(アドホック新宿店)」の存在だ。エントランスや地下フロアに広がるファンシーな空間は、日本中から集まるサンリオファンの「聖地」として君臨した。巨大なハローキティのモニュメントや、商品購入時に付けてもらえる小さなプラスチック製のおまけ(プレミアムマスコット)を夢中で集めた思い出は、今も多くのブログや回想録に綴られている。
そしてもう一つの巨塔が、「紀伊國屋書店アドホック店」だ。靖国通りを挟んで向かい合う紀伊國屋書店新宿本店が文芸書や専門書の知の殿堂であったのに対し、アドホック店はコミック、ライトノベル、アニメ関連書籍、サブカルチャー雑誌に特化したフロア展開を実施。「フォレスト」の愛称で親しまれたコミック売場は、国内屈指の在庫量とポップ展示の熱量で知られ、クリエイターや愛好家にとってかけがえのない情報拠点だった。
フロア案内を振り返ると、かつては地下から上層階までカルチャー一色で埋め尽くされていた。しかし時代の変化とともに、大型書店のビジネスモデル再編やキャラクターショップの直営旗艦店化が進展。2010年代以降、テナントの退去が相次ぎ、かつての「カルチャーの殿堂」としての機能は徐々に縮小を余儀なくされていった。