承らせていただきますは二重敬語?相手に好印象を与える言い換え術

承らせていただきますは二重敬語?相手に好印象を与える言い換え術に関する基本知識を初心者にも親しみやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

では、本来用いるべき「承ります」と、誤用である「承らせていただきます」にはどのような差異があるのか。その核心は、敬語表現としての完成度にある。

「承る」という動詞そのものが、すでに最高峰の敬意を示す謙譲語だ。そこに丁寧の助動詞「ます」を添えた「承ります」だけで、相手を敬い自身の動作をへりくだる表現として完璧に完結している。何ら過不足のない完成された表現に、蛇足のごとく「〜(さ)せていただく」を接合することは、美しい工芸品に余計な装飾を塗りたくるような行為に等しい。

それにもかかわらず、なぜ多くのビジネスパーソンがこの不自然な言葉を選んでしまうのか。そこには心理学でいう「防衛的コミュニケーション」と「過剰適応」の心理が働いている。

現代のビジネスパーソンは、「敬意が足りないと思われたらどうしよう」「冷淡な印象を与えたくない」という対人不安を常に抱えている。その不安を打ち消すため、言葉の文字数を増やし、音の響きを長くすることで、心理的な安全マージンを確保しようとする。短く言い切る「承ります」にどこか物足りなさや淡白さを感じてしまい、無意識に「〜させていただきます」を盛ってしまう現象は、まさに現代特有の言葉の肥大化と言える。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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