紅海と地中海を結ぶ大動脈の危機|スエズ運河と喜望峰迂回の真相
紅海と地中海を結ぶ大動脈の危機|スエズ運河と喜望峰迂回の真相の概要と注目ポイントを一挙に解説しました。
紅海と地中海の位置関係を地理的に俯瞰すると、なぜこの狭小な海域が国際物流の急所(チョークポイント)と呼ばれるのかが明白になります。地中海の南東端に位置するエジプトのポートサイドから、砂漠地帯を貫いて紅海側のスエズへと抜ける人工水路がスエズ運河です。運河の東側には乾燥地帯のシナイ半島が広がり、アジアとアフリカを隔てる地政学的な境界線を形成しています。
スエズ運河を抜けた船舶は、南北約2,000キロメートルに及ぶ細長い紅海を南下します。その南端の出口に待ち構えているのが、アラビア語で「涙の門」を意味するバブ・エル・マンデブ海峡です。海峡の最狭部はわずか約26〜30キロメートル程度しかなく、対岸のイエメンとジブチ・エリトリアに挟まれたこのボトルネックを通過しなければ、アデン湾からインド洋へと抜けることはできません。
つまり、船が地中海とインド洋を行き来するためには、「スエズ運河」と「バブ・エル・マンデブ海峡」という二重の関門を無傷で突破する必要があります。どちらか一方でも航行不能になれば、航路全体が完全に機能不全に陥る構造的な脆弱性を抱えているのです。この海域を航行できない場合、船舶は巨大なアフリカ大陸をまるごと南へ回り込み、喜望峰を経由する旧時代の航路を選ばざるを得なくなります。