出張の移動時間は残業になる?時間外手当の判断基準と損しない請求法
出張の移動時間は残業になる?時間外手当の判断基準と損しない請求法に関する基本知識をわかりやすくまとめました。詳細を読もうことができます。
原則は労働時間外とされる移動時間ですが、一定の条件を満たすことで「時間外労働」として認められます。出張新幹線移動残業や移動中の拘束が労働時間と判断される典型的なケースは、以下の4つの要件に集約されます。
第1に、出張移動中業務指示が明確に存在する場合です。上司から「博多に到着するまでにプレゼン資料を修正して共有しておくように」「移動中にクライアントへの提案書をチェックせよ」といった具体的な指示を受け、移動中にノートPCを開いて実務に従事した時間は、疑いようもなく使用者の指揮命令下にあります。この時間は実労働時間としてカウントされ、所定労働時間を超えれば時間外手当が発生します。
第2に、特殊な物品や重要書類の運搬・監視義務が課されている場合です。商品サンプル、高額な精密機器、あるいは厳重な管理を要する機密データを目的地まで破損・紛失なく運ぶことが出張の主たる目的であり、移動中も常時それらを監視・管理する責任を負わされている場合、判例上も「運搬それ自体が業務」とみなされ、移動時間全体が労働時間として扱われます。
第3に、移動中の連絡待機(オンコール・即時対応)が義務付けられているケースです。「新幹線内でもチャットツールを常時確認し、連絡があれば5分以内に返信せよ」といった義務が課されている場合、労働からの解放とは認められず、手待時間(待機時間)として労働時間認定される可能性が高まります。
第4に、上司と同乗し、車内ミーティングが継続している場合です。上司が隣に座り、移動中ずっと業務の打ち合わせや指導が行われている状態は、部下にとって行動の自由が完全に剥奪されている状態であり、実質的な拘束時間とみなされます。
なお、休日出張移動時間労働時間の解釈についても同様の基準が適用されます。「月曜日の朝一の会議に間に合わせるため、日曜日の午後に移動せざるを得ない」という状況自体は、移動中に具体的な業務命令がない限り、法律上は休日労働手当の対象になりません。ただし、この理不尽な拘束感を補填するために、多くの企業では就業規則や出張旅費規程によって「休日移動手当」などの独自の手当を設けています。