サッカー日本代表のマークはなぜカラス?八咫烏の由来と胸の秘密
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サッカー日本代表のシンボルマークに描かれている漆黒の鳥は、日本神話(『古事記』『日本書紀』)に登場する「八咫烏(ヤタガラス)」です。八咫(やた)とは「非常に大きい」ことを意味し、神武天皇が東征の折、熊野の険しい山中で道に迷った際、天から遣わされて大和の橿原まで一行を正しく先導したという伝説に由来します。つまり、闇を照らし勝利への道を切り拓く「導きの神」としての象徴性を持っています。
では、なぜ西洋発祥のスポーツであるサッカーの統括組織が、この神話の鳥を旗印に選んだのでしょうか。そこには日本サッカーの黎明期を切り拓いた重要人物への深い敬意が存在します。
1921年(大正10年)に日本サッカー協会の前身である「大日本蹴球協会」が創立された際、協会の設立に尽力した漢文学者・東京高等師範学校教授の内野台嶺(うちの・たいれい)氏らがシンボルマークの図案考案を主導しました。その際、念頭に置かれていたのが、1906年に東京高等師範学校(現・筑波大学)で日本初の本格的サッカー指導書を著し、蹴球の普及に命を捧げた中村覚之助(なかむら・かくのすけ)氏の功績でした。
中村氏は和歌山県那智勝浦町の出身であり、熊野地方は古くから八咫烏を神の使者(神使)として祀る「熊野三山」の本拠地です。志半ばで早世した中村氏の情熱を称え、日本サッカーが世界へ羽ばたくための道標として八咫烏を掲げることが、創設メンバーの間で自然と合意されていきました。