双極性障害の原因は母親のせい?医学が証明する遺伝確率と育て方
双極性障害の原因は母親のせい?医学が証明する遺伝確率と育て方について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご確認ください。
双極性障害について世間で最も根強く残る誤解が、「母親の過干渉や放任といった育て方の影響で発症した」「親のせいで人生が狂った」という心理的決定論です。しかし、精神医学における明確な結論として、双極性障害は育て方の不手際によって後天的に作り出される病気ではありません。
双極性障害は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなど)の調整異常や、神経可塑性(脳神経のネットワーク再構築機能)の失調、細胞内のカルシウムシグナル伝達の変調などが関与する多因子性の身体疾患です。日本うつ病学会が公表している双極症治療ガイドラインでも明記されている通り、本疾患の本態は脳機能の障害であり、親のパーソナリティやしつけの巧拙が根本原因ではないと科学的に結論づけられています。
もちろん、過酷な家庭環境や虐待、慢性的なストレスが無関係というわけではありません。これらは素因を持つ人に対して「双極性障害 発症の引き金」として作用する外的なトリガーにはなり得ますが、原因そのもの(病因)ではありません。仮にどれほど過酷な環境で育ったとしても、生物学的な脆弱性を持たない人が双極性障害を発症することはないと報告されています。したがって、「母親の育て方が悪かったから発症した」と結論づけるのは、医学的に明白な誤謬です。