酸素ヘモグロビン解離曲線の見方と右方移動の理由|国試・生物完全攻略
酸素ヘモグロビン解離曲線の見方と右方移動の理由|国試・生物完全攻略にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
生体内において酸素を運ぶ主役は、赤血球内に存在するタンパク質「ヘモグロビン(Hb)」です。ヘモグロビンは4つのサブユニット(ポリペプチド鎖)から構成され、それぞれが鉄を含むヘムという色素を持っています。つまり、1分子のヘモグロビンは最大4分子の酸素(O2)と結合できる構造を備えています。
酸素ヘモグロビン解離曲線とは、横軸に「酸素分圧(PO2:mmHg)」、縦軸に「酸素飽和度(SO2:%)」を取り、環境中の酸素濃度に応じてどれだけのヘモグロビンが酸素と結びついているかを表したグラフです。ここで多くの学習者が直面する最初の疑問が、「なぜ直線的な比例関係ではなく、なだらかなS字カーブ(シグモイド曲線)を描くのか」という点にあります。
このS字カーブを生み出しているのが、ヘモグロビン特有のアロステリック効果(協同作用)です。ヘモグロビンは、最初の1分子の酸素が結合すると分子の立体構造がわずかに変化し、2分子目、3分子目の酸素が劇的に結合しやすくなる性質を持っています。逆に、酸素を1つ手放すと残りの酸素も次々と離れやすくなります。
この協同作用のおかげで、酸素分圧が約100mmHgと極めて高い肺胞では、酸素飽和度は約98〜99%に達して効率よく酸素を抱え込みます。一方で、酸素分圧が約40mmHg以下に低下する末梢の組織に到達すると、グラフの傾きが急峻になり、ヘモグロビンは一気に酸素を手放して組織へと引き渡します。無駄なく酸素を積み込み、必要な場所でドッと荷降ろしするための極めて巧妙な設計が、このS字カーブの正体です。