なぜ相手を束縛してしまうのか?不安型愛着障害の心理と克服の処方箋
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この激しい不安は、大人になって突然発生したものではありません。心理学の世界において人間関係の土台を説明する基礎理論が、イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した「愛着理論(アタッチメント理論)」です。ボウルビィは、乳幼児期に特定の養育者(主に母親や父親)との間に結ばれる情緒的な絆を「愛着」と定義し、これが子どもの生存と心の安定における「安全基地」になると論じました。
その後、発達心理学者メアリー・エインスワースが行った「ストレンジ・シチュエーション法(見知らぬ状況テスト)」によって、子どもの愛着行動は分類されました。母親が部屋を出入りした際、母親の姿が見えなくなると激しく泣き叫び、戻ってきても怒りとすがりつきを同時に見せて容易に安心しない子どもたちのグループが確認されたのです。これが現在の「不安型(アンビバレント型)」の原型です。
不安型愛着障害の背景には、幼少期における養育態度の非一貫性が存在します。親が虐待や完全な無視(ネグレクト)を行っているわけではなく、むしろ愛情深く接する日もあれば、親自身の気分のムラやストレスによって冷淡に突き放す日がある――という「気まぐれな養育環境」で育ったケースが極めて多いと分析されています。
親の機嫌によって受け入れられたり拒絶されたりする環境で育った子どもは、「親がいつ去ってしまうかわからない」という強烈な恐怖を覚えます。そして、見捨てられないための生存戦略として「常に親の機嫌をうかがい、過剰に泣いたり甘えたりして親の関心を引き止める」という過敏反応を脳にプログラミングしてしまうのです。この幼少期の生存戦略が、大人になった今、恋愛関係という親密なパートナーシップの中で無意識に再起動しています。