「千と千尋」油屋のモデルと裏設定の真相|構造と神様の謎を徹底解剖

「千と千尋」油屋のモデルと裏設定の真相|構造と神様の謎を徹底解剖にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

「油屋のモデルとなった温泉宿はどこか」という問いに対して、スタジオジブリ公式および宮崎駿監督は一貫して明確な回答を出しています。それは「特定の単一の宿をそのまま描いたのではなく、監督の記憶にある様々な古い建物や温泉街のイメージを組み合わせたもの」という見解です。宮崎監督が制作当時に執筆したイメージボードや各種特番のインタビュー資料を紐解くと、全国各地に点在する複数の名建築の意匠が緻密にサンプリングされていることが分かります。

筆頭に挙げられるのが、愛媛県松山市に鎮座する国指定重要文化財道後温泉本館です。スタジオジブリ公式サイトの制作日誌やインタビュー集『風の帰る場所』などでも、メインスタッフが社員旅行を兼ねてロケハンに訪れ、複雑に入り組んだ木造3階建ての構造や迷路のような廊下、屋上の振鷺閣(しんろかく)などを大いに参考にした事実が公式に記録されています。唐破風(からはふ)の重厚な屋根や、ギシギシと軋む階段のリアルな質感は、道後温泉本館の空気が色濃く反映された結果と言えます。

さらに、群馬県四万温泉の積善館(せきぜんかん)も有力候補地として名高い存在です。本館へと続く赤い欄干の橋「慶雲橋」は、千尋とハクが息を止めて渡ろうとしたあの橋の佇まいそのものであり、現存する日本最古の木造湯宿建築の風格が油屋の外観アプローチに強いインスピレーションを与えています。また、長野県渋温泉の歴史の宿 金具屋が誇る登録有形文化財「斉月楼(木造4階建て)」の夜間ライトアップされた姿や、東京都小金井市の江戸東京建物園に保存されている下町銭湯「子宝湯」の格天井や宮造りの破風、文具店「武居三省堂」の壁一面に並ぶ引き出し(釜爺の薬箪笥の直接の着想源)など、実在する名建築のパーツが見事な調和で集約されているのです。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest