花壇で見かけるハチドリみたいな虫の正体は?毒針や刺す危険性を徹底解剖
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まず前提として知っておくべき事実がある。生物学上、ハチドリが日本に野生で生息している事実は一切ない。ハチドリ科の鳥類はすべて南北アメリカ大陸とその周辺諸島にのみ分布しており、日本の屋外で見かける「空中で静止しながら蜜を吸う手のひらサイズの生き物」は、100%の確率で昆虫である。
では、あの目にも留まらぬ速さで羽ばたくハチドリみたいな虫の正体は何なのか。その代表格が、チョウ目スズメガ科に属する「オオスカシバ」と「ホウジャク(蜂雀)」の仲間たちだ。蛾の多くは夜行性で薄暗い場所を好むイメージが強いが、彼らは明るい日中に堂々と活動する非常に珍しい「昼行性の蛾」として知られている。
彼らの最大の特徴は、空中でピタリと静止する「ホバリング」を行いながら、長い口吻(こうふん)を使って花の蜜を吸う点にある。アベリア、ランタナ、コスモス、サルビアなどの蜜源植物を好み、1秒間に70〜90回以上とも言われる高速羽ばたきによって、鳥類のハチドリと見紛うばかりの空中静止を披露する。この「異なる系統の生物が、似たような生態的地位に適応した結果、酷似した形態や行動を獲得する現象」は、生物学で「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼ばれ、自然界の神秘を象徴する生きた証拠でもある。