植物の水の通り道を徹底解明!維管束の仕組みと蒸散の謎に迫る
植物の水の通り道を徹底解明!維管束の仕組みと蒸散の謎に迫るの全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
植物には心臓のような拍動ポンプが一切ありません。それにもかかわらず、植物が水を吸い上げる理由と、十メートル以上の高木へ水を押し上げる物理学的背景には3つの力が複雑に関与しています。その中でも圧倒的な牽引力を発揮しているのが蒸散の仕組みです。
蒸散とは、葉の裏側に多く存在する気孔の働きによって、植物体内の水分が水蒸気として大気中へ放出される現象を指します。気孔は三日月形をした2つの孔辺細胞によって開閉が制御されており、日中に光を浴びて気孔が開くと、水が外へと蒸発していきます。このとき葉の内部に強い「負圧(引っ張る力)」が発生し、まるでストローでジュースを吸い上げるかのように、茎の道管内の水を上へ上へと引きずり上げます。
物理学的な計算上、管の細さによって液体が自然に吸い上がる毛細管現象だけでは、水が上昇できる限界はせいぜい1メートル前後にすぎません。しかし、水分子同士が水素結合によって互いに強く引き合い、細い道管の中で切れないロープのようになる「水分子の凝集力」が存在します。この「蒸散の牽引力」「毛細管現象」「水分子の凝集力」が連動するメカニズムは植物生理学で凝集力-張力説(Cohesion-Tension Theory)として確立されており、巨木が地上高くまで水を循環させる決定打となっています。