スタン・ハンセンの現在と伝説|不沈艦の真実と知られざる素顔
スタン・ハンセンの現在と伝説|不沈艦の真実と知られざる素顔の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。
プロレスの歴史において、これほどシンプルでありながら絶大な説得力と破壊力を誇ったフィニッシュホールドは他に存在しません。スタン・ハンセンの代名詞であるウエスタン・ラリアットは、相手の喉元に左腕の太い腕骨を打ち付け、文字通り後方へ一回転させてマットに沈める必殺技です。
この技の原点には、彼のアメリカンフットボール選手時代のバックボーンがあります。名門ウエスト・テキサス州立大学で活躍していたハンセンは、相手の進路を力ずくで塞ぐ「ハイタックル」や前腕部を使ったブロッキングの技術を体得していました。プロレス転向後、相手を一撃で仕留める説得力のある技を模索する中で、このフットボールの衝突エネルギーを打撃技へと昇華させたのです。
さらに、この技の破壊力を語る上で外せないのが、ハンセン自身の「極度の近眼」という身体的特徴です。コンタクトレンズや眼鏡を外してリングに上がっていたハンセンの視力は、相手の輪郭がぼんやりとしか見えないほど極めて低い状態でした。当時のインタビューや関係者の回顧録によると、ハンセン自身は「相手がよく見えないからこそ、躊躇して中途半端に打つのではなく、常に100%のフルスイングで腕を振り抜くしかなかった」と告白しています。この恐怖心に打ち勝つための全力スイングが、結果としてプロレス史上最強のインパクトを生み出すことになりました。
入場時に人差し指と小指を立てて高々と掲げる「テキサス・ロングホーン」のサインと、「ユース!」が日本のファンの耳に「ウィー!」と定着した雄叫びは、母校テキサス大学のシンボルである牛の角(ロングホーン)に由来しています。ケニー・ロジャースの楽曲にスペクトラムのホーンセクションが重なる日本独自仕様の入場曲「サンライズ」が鳴り響いた瞬間、会場全体が総立ちとなる光景は、昭和・平成のプロレス中継における最高のカタルシスでした。