イシモチはまずい?下処理で劇的に化けるプロ直伝の美味しい食べ方
イシモチはまずい?下処理で劇的に化けるプロ直伝の美味しい食べ方の背景について、専門知識を基に徹底解説します。
台所にイシモチを迎えたら、次に取り組むべきが徹底的な「イシモチの下処理」と「イシモチの臭み取り」です。プロの現場が実践している科学的下処理は、3つの明確なステップに分かれます。
第1ステップは、微小で硬いウロコの完全除去です。イシモチのウロコは細かく皮膚に食い込んでいるため、金属製のウロコ引きだけではヒレの際や頭頂部に残りやすくなります。包丁の刃先を垂直に当てて尾から頭へ向かって細かくこそぎ落とした後、残った個所を未使用の硬め歯ブラシで擦ることで、後の加熱調理時に気になる不快な舌触りを根絶できます。
第2ステップは、内臓除去と腹腔内の黒膜(ペリトニウム)掃除です。エラと内臓を傷つけずに引き抜いた後、中骨に沿って走る「血合い(腎臓)」の薄膜に包丁を入れ、流水と歯ブラシを使って徹底的に血塊を洗い流します。この血合いと黒膜を残したまま加熱すると、強烈な泥臭さや酸化臭の原因となります。
第3ステップにして最大の秘訣が、「浸透圧を利用した脱水コントロール」です。下処理を終えた魚体を濃度3%の冷塩水(立て塩)でサッと洗い流して水気を拭き取った後、下記のどちらかのアプローチを選択します。
【加熱用】:魚体全体(および腹腔内)に重量に対して約1.2%の天然塩を満遍なく振り、冷蔵庫のバットに斜めに立てかけて20〜30分静置します。浸透圧によって浮き出た黄褐色の水分をペーパータオルで完璧に拭き取ることで、臭み原因物質(トリメチルアミンなど)が水分ごと体外へ排出されます。
【生食用・刺身用】:三枚におろして皮を引いたサク、あるいは皮目を活かしたサクをプロ仕様の浸透圧脱水シート(ピチットシート等)に包み、冷蔵庫で約35〜50分寝かせます。余分な自由水のみがシートに吸収され、もっちりとした弾力と濃厚なアミノ酸の結晶のような舌触りが構築されます。