朝井リョウのエッセイはなぜ電車Ngなのか?ゆとり三部作を徹底解剖
朝井リョウのエッセイはなぜ電車Ngなのか?ゆとり三部作を徹底解剖について押さえておきたい ポイントを厳選して解説いたします。
朝井リョウのエッセイに挑戦する際、まず押さえるべきは「ゆとり三部作」と呼ばれるライフワークシリーズです。刊行順に追うことで、著者が大学生から社会人、兼業作家を経て専業作家へと成熟していく生活の変化と、それに反比例して深まっていく自虐と奇行のグラデーションを味わえます。
第1作『時をかけるゆとり』は、もともと『学生時代にやらなくてもいい20のこと』というタイトルで刊行された単行本を文庫化にあたって改題したものです。大学生特有の根拠のない万能感と無軌道な行動力が詰まっており、シリーズの土台を築いた名作です。
続く第2作『風と共にゆとりぬ』は、後述する医療エッセイ史に残る伝説エピソードを擁し、ファンの間で「シリーズ最高傑作」として最も頻繁に名前が挙げられます。そして完結編となる第3作『そして誰もゆとらなくなった』では、30代を迎えた著者が肉体の経年劣化や社会的な責任と直面しながらも、相変わらず自意識に翻弄される姿が描かれ、大人の読者ほど深い共感を呼ぶ仕上がりとなっています。