昔の歯磨き粉はなぜ消えた?粉・缶の歴史とタバコライオンの現在

昔の歯磨き粉はなぜ消えた?粉・缶の歴史とタバコライオンの現在について押さえておきたい 理由を厳選して解説いたします。

昭和40年代から50年代にかけてテレビCMを席巻した世界最大手オーラルケアブランド「コルゲート(Colgate)」の消滅も、日本の日用品市場における大きな謎として語り継がれています。なぜ、世界200カ国以上で圧倒的シェアを誇る巨人が日本から撤退したのでしょうか。

業界関係者の証言や当時の流通データを検証すると、コルゲート撤退の理由には3つの強固な障壁がありました。

第1に、日本の特異な卸売・問屋ネットワークです。ライオンやサンスターは全国津々浦々の薬局・金物店・スーパーに至る強固な専属販売代理店網(専売卸)を構築しており、外資系ブランドが後発で参入しても陳列棚のゴールデンゾーンを確保することが極めて困難でした。

第2に、フレーバー(香味)と使用感のミスマッチです。コルゲートが持ち込んだのは、米国市場で好まれる強烈なウインタースグリーンやシナモン系の刺激的な辛味でした。一方、日本の消費者はサンスターが培った和ハッカ調の爽やかさや、ライオンの穏やかなペパーミント風味、そして「サンスター塩歯磨き」に代表される塩味・生薬風味に慣れ親しんでおり、外資の刺激は「薬品臭くて辛すぎる」と敬遠されたのです。

第3に、花王やサンスターが先駆けて導入した「フッ素配合」「歯槽膿漏予防」といった高付加価値な薬用機能訴求に対し、単なる清涼感や美白イメージの押し出しだけでは差別化を図れず、1970年代末から80年代にかけて合弁解消とともにドラッグストアの店頭から静かに姿を消すこととなりました。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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