奈良・久保本家酒造の真髄|睡龍と生もとのどぶが熱狂される理由
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奈良県宇陀市大宇陀出新――かつて大和と伊勢を結ぶ伊勢本街道の宿場町として栄え、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている町並みの一角に、久保本家酒造の蔵屋敷が佇んでいます。創業は江戸中期の元禄15年(1702年)。3世紀を超える歳月の中、地元で親しまれてきた代表銘柄「初霞(はつがすみ)」をはじめ、吉野杉の木桶や厳寒期の気候、良質な仕込み水を活かした酒造りを受け継いできました。
久保本家酒造の歩みにおいて大きな転換点となったのが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて舵を切った「生酛造り」と「純米酒」への原点回帰です。近代的な速醸酛(人工乳酸を添加して短期間で酵母を育てる手法)による軽快な酒造りが主流となる中、同蔵は自然界の乳酸菌と微生物の生存競争を利用する伝統の生酛造りを復活させました。
蔵元当主の久保順平氏と、酒造りの現場を指揮してきた加藤克則杜氏のタッグは、単なる懐古趣味ではなく「現代の食卓において本当に必要とされる究極の食中酒とは何か」を徹底的に追求。米の力を極限まで引き出し、数年の熟成にも耐えうる強靭な酒質を確立したことで、現在の確固たる地位を築き上げました。