子宮摘出後の出血が止まらない原因は?危険な兆候と受診目安を解説
子宮摘出後の出血が止まらない原因は?危険な兆候と受診目安を解説についての疑問解決ガイドを徹底解説します。
子宮全摘出術では、子宮体部および頸部をすべて摘出した後、腟の最奥部を縫い合わせて袋状に閉鎖します。この縫合部分を医学用語で「腟断端(ちつだんたん)」と呼びます。子宮を摘出した後に出血が止まらない場合、その大半はこの腟断端の創傷治癒プロセスに関連して発生しています。術後の経過日数によって出血が起こる主たる機序は異なります。
まず、手術直後から術後1週間前後は、切離・縫合された組織から血液混じりの滲出液(しんしゅつえき)が分泌されるため、薄い赤色からピンク色の分泌物が見られます。近年広く行われている腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)やロボット支援下手術では、術中の止血が極めて精密に行われますが、毛細血管からの微小な浸出は数日間継続します。
術後1〜3週間の時期に生じる出血の大きな要因が、吸収糸(体内で自然に溶ける縫合糸)の融解です。腟断端を縫合している吸収糸は、術後2週間前後から加水分解によって徐々に強度が低下し、ほつれて脱落していきます。この際、糸が固定していた組織の表面が一時的に露出し、少量の鮮血やピンク色の出血が見られることがあります。これは正常な生体反応の一部であり、創部が順調に自己組織へ置き換わっているサインでもあります。
術後3〜6週間の回復後期において出血が長引く主な原因は、肉芽組織(にくげそしき)の形成です。創部が治る過程で、毛細血管に富んだ柔らかい増殖組織(肉芽)が腟断端に作られます。この組織は非常に脆弱であり、日常の歩行や排便時のいきみ、軽微な摩擦によって容易に毛細血管が破綻し、少量の出血や茶色いおりものとして排出されます。診察時にこの肉芽組織が確認された場合、外来で硝酸銀による化学焼灼(しょうしゃく)や止血処置を行うことで速やかに軽快します。