イスラム教の戒律と真実|豚肉禁止の理由や宗派の対立背景を徹底解明

イスラム教の戒律と真実|豚肉禁止の理由や宗派の対立背景を徹底解明に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。

イスラム世界を理解する上で避けて通れないのが、二大宗派であるスンナ派とシーア派の違いです。教義の核心であるアッラーへの唯一神信仰やコーランの尊重において基本的な差異はありませんが、歴史的な正統性の捉え方が両者を大きく隔てています。

歴史の起点は、7世紀前半の預言者ムハンマドの経歴と歴史にあります。商人として信頼を集めていたムハンマドは、40歳の頃に神の啓示を受け、多神教が支配的だったアラビア半島で唯一神への絶対的帰依を説き始めました。迫害に抗してメッカからメディナへと本拠を移した「ヒジュラ(西暦622年)」を経て信徒共同体(ウンマ)を形成し、半島の統一を成し遂げます。しかし、西暦632年にムハンマドが後継者を明確に指名しないまま死去したことで、共同体の統治権をめぐる分裂が生じました。

「共同体の合意によって選ばれた代表者(カリフ)を指導者と認める」立場を取ったのが多数派のスンナ派です。一方、「ムハンマドの従兄弟であり娘婿でもあるアリーとその直系子孫(イマーム)のみが正当な指導権を持つ」と主張したのがシーア派(「アリーの党派」の意)でした。この権力継承をめぐる葛藤が、後にカルバラーの悲劇(アリーの次男フサインの殉教)を経て感情的な亀裂へと発展しました。

比較項目スンナ派(多数派)シーア派(少数派)編集部の見解・評価信徒比率・主要地域世界全体の約85〜90%(インドネシア、サウジアラビア、エジプトなど)世界全体の約10〜15%(イラン、イラク南部、アゼルバイジャンなど)中東情勢の対立軸として報じられるが、地域住民レベルでの日常的共存例も多数存在。指導者(後継者)の観念カリフ制(共同体の慣習や合意を重視、人間としての統治者)イマーム制(ムハンマドの血統による無謬の最高宗教指導者)宗教指導者の権威に対する服従度において、シーア派の方が中央集権的傾向が強い。礼拝作法の細部1日5回(直立時に胸元または腹部で腕を組む作法が一般的)1日3回にまとめることが容認(腕を下に垂らし、カルバラーの土製板に額をつける)礼拝回数や所作に僅かな違いがあるものの、唱える言葉や信仰の本質は同一。聖地と巡礼三大聖地(メッカ、メディナ、エルサレム)三大聖地に加え、ナジャフ、カルバラーなどのイマーム廟巡礼を重視殉教者を追悼する「アーシューラー」の儀式など、シーア派特有の情念的行事が際立つ。
山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

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