白飛びとは?決定的な原因と黒つぶれの違い・完全防止策をプロが解説
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カメラ初心者の間で広く信じられている最大の誤解が、「RAW形式で撮影しておきさえすれば、後からパソコンのRAW現像ソフトで白飛びは100%元通りに直せる」という言説です。SNSや動画共有サイトの簡略化されたチュートリアルがこの神話を拡散させていますが、物理工学の観点から言えばこれは明らかな虚構です。
RAW現像によるデータ復元の限界は冷徹です。RAWデータはセンサーが記録した生データを保持しているため、JPEGよりも広いダイナミックレンジの余白(ヘッドルーム)を持っています。しかし、それは「ハイライト部にわずかでも諧調が生き残っている場合」に限られます。受光素子のRed・Green・Blueの全ピクセルが飽和電圧に達して最大値となった領域は、現像ソフトのAdobe Lightroomなどで「ハイライト」スライダーを極限のマイナス100まで下げても、「明るい白」が単に「濁った不自然なグレー」に変換されるだけであり、失われた雲のディテールや肌のキメが蘇ることはありません。
現場における実践的な写真の白飛び補正テクニックとしては、1〜2色のみが飽和している境界線エリアに対して現像ソフトのハイライト復旧アルゴリズムを効かせ、周囲の残存チャンネルから色味を類推補間させる手法がとられます。また、どうしても白飛びが目立つ商業写真の現場では、白飛びの直し方・修正方法として別カットから同一被写体のテクスチャを移植合成(レタッチ)する手法が採られます。しかし、これはデータの復元ではなくCG的な描き足しに過ぎません。RAW現像は「わずかな飛びかけを粘り強く救う安全ネット」であっても、「消滅した情報を再生する魔法の杖」ではないという現実を認識しておく必要があります。