武井咲『黒革の手帖』が伝説となった理由|米倉版比較と現在

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2017年7月期の木曜ドラマ枠(テレビ朝日系)で放送された本作において、最大の焦点となったのは当時23歳という武井咲の若さでした。松本清張作品の主演としては同局史上最年少記録であり、放送前は「銀座の老舗クラブのママを演じるには貫禄が不足しているのではないか」という懐疑的な声がSNSや一部メディアで見受けられたのも事実です。

しかし、蓋を開けてみれば初回平均視聴率11.7%、最終回では13.0%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を叩き出し、期間平均でも2桁台をキープする大ヒットとなりました。視聴者の口コミやネットの反応を瞬時に変えたのは、銀行の地味な派遣社員から銀座のクラブ「カルネ」の頂点へと這い上がる瞬間に見せた、獲物を狙う冷ややかな視線と凛とした発声でした。

当時の制作発表やインタビューで武井咲は、「悪女を演じることへの躊躇は一切なかった。元子の孤独と野心に徹底的に寄り添った」と述懐しています。愛嬌を封印し、感情の起伏を最小限に抑えながら相手の急所を突くセリフ回しは、20代前半の女優が放つオーラとしては異例の完成度を誇り、「武井咲の演技力が覚醒した」「キャリア史上最高の代表作」との評価を決定づけました。

清水 千尋

清水 千尋

フード&トラベルライター

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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